星のお姫さま

好きなことだけ。

ONE OK ROCK Luxury Disease Japan dome tour 2023

 

 

attention!

このブログは10年以上ONE OK ROCKを聴き続けライブに通い続けた挙句、彼らに対して好きを拗らせまくった故の偏見と妄言に塗れた感想文になりますので、悪しからず。

 

 

 

 


思うところがありすぎて、筆が全く進まないけれど、それでも自分の気持ちを吐き出して整理することが今回は絶対に必要だと思ったので、なんとかして書き出してみる。

 

 

 

 

 

 

 

 


今回のワンマンツアーは2019年のeyes of the storm tour以来4年ぶりで、ワンオクを見るのは去年のサマソニ以来でした。
サマソニで盛大に炎上した彼らは一部同業者からも冷ややかな目で見られていたし、Twitterでも否定的な意見が多かった。これに関してはルールがある以上破っていいわけはないが、サマソニの管理の実情を現場で見ていた側としてはしょうがないのかなという気もした。入場時にマスクをしていなくても注意もされてなかったし。ただ、コロナ禍になってからかなりその影響を受けて、色んな現状を目の当たりにしていた私は、手放しで彼らを肯定することもできなかった。
でも今思うと、Takaはこのままでは衰退するであろう日本の音楽シーンを憂いていたのだろう。彼は誰かに何かを言われることを毛ほども気にしないし、常に自分がやりたいように、自分の思ったことをそのまま口にする、絵に描いたようなフロントマンだった。だからこそONE OK ROCKは常に新しかったし、日本のバンド界では一線を画していたように思う。

いくら昔の曲が良かったとしても、止まることを是とせず、常に進化することだけが正しいと信じて。ただでかい口を叩くだけじゃなく、有言実行の名手でもあったTakaは、最初から日本に留まることは考えず、常にアメリカで通用するバンドになると言っていて、そのための行動は惜しんでいなかったように思う。アリーナクラスをsoldさせられるようになっても、アメリカのバンドと対バンを組んで小さな箱でライブをして、昔の曲がいいとわかっていてもアメリカで通用するような曲を作り、アメリカのレーベルと契約をして。リズム隊なんて最初英語なんて全く喋れなかったわけだし、その苦労は計り知れない。


海外に飛び出した当初、日本ではモンスターバンドと認定されていた彼らを待ち受けていたのは、小さな箱と顔目当ての女性のファン。環境の変化と、思っていたような手応えもなく、キュートだと言われ写真を撮られる毎日。そりゃ日本のファンに八つ当たりもしたくなるだろう。(海外ツアーのライブの最前をいつも同じ日本のファンが埋め尽くしていることに対して、うんざりしているとインスタに投稿したのだ。当時はかなり物議を醸していたし、いくら勘弁してほしいと思っていたとしても同じお金払ってるわけであって、思ったような客層を入れることができていないことへの八つ当たりでしかなかったと思う。この件に関してはコロナ禍のインスタライブでTaka本人が言及していて、「刺々しい言い方になっていたと思う」と懐古している。)

でもそれが当時のONE OK ROCKのレベルだったのも、また事実であった。


そこから幾度となく挑戦を続けて、プロデューサーを変えては新譜を出して。この頃のワンオクは、かなり迷走していたし、アルバムの中でいい曲が1、2曲あればいいと思える程度だったし、今までのように一度聞いたら覚えるような強烈な曲は無かった。もちろんライブは楽しいし、Takaの歌は上手いし、とーるさんはカッコいいし。でも、初めて完全感覚Dreamerを聴いた時の衝撃と、浜スタの時の感動を超えることは無くて。

彼らは過去の栄光にとらわれず、前を向いて進み続けているというのに、私はその遠ざかる背中をただ眺めるだけで、追いかけることができずにいた。多分きっと、私は彼らに何かを期待していたんだと思う。いつかきっと、‘人生×僕=’のような、素晴らしいアルバムをまた生み出してくれるんじゃないかと。
ライブに行くたびに楽しかったという気持ちと一緒に、この人たちはどこまで行こうとしているのだろうかと考えていた。TakaのMCを聴くたびに、彼らにとって日本のファンは必要なのだろうかと自問自答していた。あの頃私が好きだと思った曲は、彼らがプロデューサーを入れて注力したものではなかったし、彼らが羽ばたくための翼として生み出した曲たちを好きになれない自分が心底嫌だった。手放しでかっこいいと称賛できるほど考えなしのファンでいるには、彼らを好きでいすぎたのだ。


初めてのドームツアーだったambitious japan tour。忘れもしない2018年4月4日。
当時、「ドームに立つようなバンドになりたく無い」とまで言ってた彼ら(というか主にTaka)は結局ドームに立って、その馬鹿でかい会場を客で埋め尽くしていた。
今ではシリーズ化しつつある、NHKの18祭の最初のアーティストとして、まさかの国営放送に進出。Mステにも出ず、ライブでのパフォーマンスを至上としていた彼らが、自分たちよりも若い世代のことを考えるようになっていたのはこの辺りからだったように思う。
海外に進出してから2枚目の新譜であるAmbitious。ここで彼らはその後のLIVEでの定番曲となるWe Areを作り出したわけだが、その勢いは弱まっていたと思う。なんせTakaはすでに30歳。海外でこれぞ!という爪痕も残せていないまま、メンバーのほとんどが三十路を迎えたという現実。Takaはこれまでにも、30歳という年齢を一つの区切りとして、30までに何かをやり遂げようとしていた。35XXXVのMCでは「俺たちが世界で1番かっこいい」みたいなことを恥ずかしげもなく豪語できるくらいには勢いもあって、若くて、それゆえの自信もあった。でもそれから数年が経ち、時間の流れと自分達の現状の立ち位置が比例しないことへの焦りも出ていただろう。そんな時のドームツアー。いつかのライブで「俺らを生きる糧なんかにしないでほしい」とまで言っていたTakaのMCでは、ファンへの感謝の言葉があった。「みんながいるから生きてられます」確かこんなようなことを言っていたと思う。今までそんなこと言ったこと無かった彼からのその言葉は、ただの感謝だけでは無かったように思えて、少し胸が痛んだのをよく覚えている。
このツアーのアコースティックコーナーでは内秘心書を演奏。デビューアルバムのゼイタクビョウの話から、努努のイントロを即興で演奏してくれたはいいものの、音程も歌詞も思い出せなかったToruさん。

そこでTakaが言った

「いつかバッチと決めてやるから!」

この口約束を信じて待ち続けていたら5年も経っていただなんて。きっと、丁度5年前のこの日が初めてのドームライブだったことすら記憶が曖昧になっていた彼は、そんなことを言っていたなんて覚えていないだろう。


こんなにも拗らせてしまった私であるが、それでも4人には楽しく音楽を続けてほしいと思っていた。ここ日本でのライブが、何度でも懲りずに海外で挑戦をして、いろんな思いを抱えて帰ってくることを繰り返す彼らの行く道の途中の、安らぎの場所であってほしいと思っていたのだ。
でも、当時の彼らは、なんだかこのまま走り続けていたらいつかどこかで消えて無くなってしまいそうな気がしていた。伸びすぎたゴムが、縮む力を失ったように。遠くへ飛んで行って、そのまま戻って来ないのではないかと、そんな風に思うことがあった。


そんな彼らの歩みを止めた新型コロナウイルスの流行。コロナ禍でもめげずに活動を続けていてくれた彼らだが、見れば見るほどにライブに行きたいという思いが強くなっていた。
そんな中の新譜「Luxury  Disease」。このアルバムのリード曲であるSave Yourselfを初めて聴いた時は、鳥肌が立つほど衝撃を受け、そしてちょっとだけ泣きそうになった。アルバムを通して聴いてみると、もっと驚いた。初めて聞くはずなのに、なぜか懐かしかったのだ。やっとだった。私の好きなONE OK ROCKはこれだ、と思った。

 


そして始まったLuxury Disease tour。

今回のライブは、今までのどのツアーとも違っていた。今まで彼らはツアーのセットリストを会場ごとに変えるなんてことはしてこなかった。少なくともここ数年はしていない。それに、アルバム曲を全てやらないなんてことも、今まで無かった。だって今までの彼らは「これが今の俺らだ!見ろ!どうだ!!」ってスタンスだったし。でも今回はアルバムの曲は全てやらず、それどころか今までお蔵入りにしていた往年の定番曲まで引っ張り出してきていた。
そして極め付けは東京ドームで演った努努。正直初日のことはあまり覚えていない。セットリストに驚かされるばかりで、気がついたら終わってしまっていたのだ。
そもそもRapはToruさん恥ずかしいって言ってたし、もう今後彼のRapを聞ける日は訪れないと思っていた。(あるのか知らんが)解散ライブの時にでも演ってくれたらいいな、あ、でもその時にはもう本当に歌えなくなっているかも、くらいに思っていた。

だから努努を演ってくれたのは、5年前の約束を果たしてくれたわけでもなく、単にファンを驚かせたかった彼らなりの私たちへのサプライズなのだろうと思っていた。
けれど、その後TakaがBeam of lightの話を出していて。Beam of lightも、絶対に聴きたいと思っていたし、いつか演ってくれたらいいなとずっと、ずっと思っていた。そしてまた彼は気まぐれに言ったのだ。
「でも、いつか何かのタイミングでやるかも。

だから、それまで俺らの事を好きでいてね。」


東京ドームというのは、Takaも言うように魔物が潜んでいるのかもしれない。この会場に来るたび、また彼らの気まぐれを待つようになってしまう。でも、そんな風に言ったということは、もしかしたら5年前のこと、本当は覚えていたのかも。だって、彼らは今まで一度だって嘘をつくようなことは無かったから。
一時はファンにうんざりしていた時期もあったが、日本のファンの大切さに気がついて、日本のライブは贔屓してくれていた彼ら。それでも、Takaの口からそんなファンに縋るような、何か約束をするような発言が出ると思っていなかったから、驚いたし、コロナ禍でいろんなことを考えたんだろうなと思った。


以前Takaがインスタライブで「みんなが好きなセトリはいつなの?」と質問をしていた。コメント欄は「渚園」で埋め尽くされていて、驚き、そして落胆してしまった。そうか、あの頃のワンオクが好きだった人はもういないのか、と。

私の中で、浜スタも、渚園も、オーケストラも、全部お祭りの特別編という括りではあったし、本人たちもそう言っていた。でもやっぱり、私はどうしたって今の洗練されてかっこいい彼らよりも、それよりもちょっと昔の青臭くて小っ恥ずかしくて、ちょっぴりダサい彼らの曲が忘れられなくて。いつまでもこんなことを言っているのも諦めが悪いと思うが、私の中での浜スタは、それほどまでに感動的で、情熱的で、ONE OK ROCKの魅力の全てが詰まっていたように思うのだ。
でも、今回のツアーは、浜スタとはまた違う魅力がたくさん詰まったライブになっていた。最初から最後まで、ずっと楽しくて、何も考えることなく、文句のつけようのないセットリスト。

こんな風にファンに忖度できるようになったということが、このライブでとても感じられて、感慨深かった。

 


Luxury  Diseaseはどの曲も素晴らしかった。というか、Fall out boyや、panic  at the  discoとか、ちょっとだけリンキンっぽい感じもあったし。フーバスっぽさもある。そもそも私が彼らを好きになったのは、聴いてきた音楽が多分一緒だったし、それに影響された彼らが作る音楽なのだから、好きなのは当たり前だろう、という。今回は、プロデユーサーの影響もあり、今までで1番ロックに振り切れていたし、Takaの言うようにここからロックシーンがまた復活するのではないかと思わせてくれる一枚になっていた。


Save Yourselfは冒頭のギターとドラムから引き込まれる。でもやっぱり難しいんだろうなこの音域、冒頭に入れないと多分歌うのきついんだろう。でもサマソニで初披露した時と比較するとめちゃめちゃ声出るようになってたし、北米ツアーで歌い続けて、自分のものになった、という感じがした。他の曲もいくつか音程下げてたみたいだが、でもまあ本人が1番歌いやすいように歌うのが1番だよね。


やっぱり良いと思ったのはLet Me Let  You Go。この一見キャッチーに思える曲調の中で、何か大切なものを失ったことを悔やむ歌詞が綴られている。Takaはこういうメロウで女々しい歌詞()の曲を歌わせると天下一品だなとつくづく思う。これ聞いた時真っ先にあれ思い出したもんね。against the currentのdreaming alone。これ好きだったなあ。


https://youtu.be/l0qWjHP1GQc

 


あと印象に残ったのはNeon。音源で聴いていた時から「パニックっぽい、、、」と思っていたら、本当にパニックとの共同制作で笑ってしまった。このサビの転調するとことが、最高にかっこいい。確かにパニックっぽいのだが、ちゃんとワンオクらしいエモさもあって。しかもこれ、映像がオシャレで可愛いんだよな〜。ネオンライトっぽい映像から、渋谷の街並みに切り替わって、ヘリからTakaが降りてきたような演出。よかった。


Mad Worldのモノクロの演出もよかったな〜。全編日本語の歌詞で、歌詞がスクリーンに映るもんだからみんな歌いまくってて、かなり盛り上がっていた印象。サビのliving  in   a mad  worldのとことか、ツーステしたくなる。


So far goneのTakaは、口から音源以上だった。ていうか改めて思うけど、日本のツアーって本当に贅沢だよな。今回はコロナのこともあったからこの時期になってるけれど、普段から海外ツアー回って、一通り自分のものにしてから、最後日本でやるっていう。そんなことにも、私は今回ようやく気づいて。年を重ねたのは彼らだけじゃ無かったね。


GRAVITY、藤原さん呼ぶと思ったのに来なかったな。なんか色々圧力とかあったのかなあ。あっちは優等生っぽいからなあ。
でも、これ紙吹雪の演出が本当に綺麗だった。東京ドームではただの紙だったのが、埼玉では銀色の紙に変わってたな。ライトが反射してキラキラしていて、スノードームの内側ってこんな感じなんだろうなとか、柄にもないこと考えてしまった。なんであれ東京ドームでやらなかったんだろう、謎。絶対キラキラしてた方が映えるのに。


Renegadesは、Ed Sheeranとアメリカで作っただけあって聞いているだけで大きな草原というか、荒野で、これから何かすごいことを企ててやるぞという意志が伝わってくる曲だった。るろ剣の主題歌だけど、それにしては壮大すぎるなと思って歌詞を見たら、まあ、このコロナ禍でのフラストレーションを爆発させたような感じだったし、私のインスピレーションはあながち間違っていなかったのだと納得。YouTubeでの動画でも言っていたし。この曲のメイキングを見た時、Takaって普段こんなにも苦労しながら曲を作っているのかと驚いた。今までは何かで言及することはあっても、実際に映像として海外での制作場面を見てこなった私は、とても驚いたし、Takaも普通の人間なのだなと思ったものだった。

 

 


ここからはアルバム曲以外の曲に関して。


まず、最近お蔵入りになっていたClock Strikes。冒頭の秒針の音が流れた瞬間の会場の沸き方がエグすぎたので、きっとまたこれはこの位置に入れ込まざるを得ないでしょう。
好きなんだよね、この曲。ワンオクの曲で1番好きな曲は?と聞かれたら絶対にこれだし、この曲だけは何度ライブで聴いてもしっくりくるし、飽きないし、Toruさんのコーラスしてる姿好きだし、みんなで声出せるのも楽しいし。あとTakaの名物ロングトーンがね。あれ聞くと安心する。偉そうなこというけど、あーちゃんと努力してるんだなぁ、って。笑 だって、歳は重ねてるのに、どんどん伸びていっているし。Eyes of  the stormeのブックレットでも言及されていたと思うけど。
一時期、Cry outにとって変わられそうになってたけど、この綺麗系ゾーン。でもやっぱりCry outじゃなくて、Clock  Strikesだとおもうよ、私は。本当に飽きるほど聴いてるし、ライブで何回聞いたかわかんないけど、なんであんなに毎回泣きそうになるんだろう。あの壮大な感じとメッセージが好きなんだろうな。


カゲロウもね、もうやらないって言ってたくせに入れてたね。まあこの曲歌いやすいんだろうな〜みんなも盛り上がるし。でもそろそろお蔵入りになるのかな。あんまりやりすぎると有り難みが消え失せてしまうから、またしばらくお休みしそうだなと思いました(小並感)


あとね、Deeper Deeper。これはさあ、反則すぎるよ、、、。この曲、確か初めてシングル曲でリズム隊が作った曲で。冒頭のベースのかっこいいのなんのって、、、。しかも暴れられるし。ヘドバンという文化を知らない人でも頭振りたくなるような強烈なメロディー。久しぶりに聞いたけど、体が覚えてましたね。ヘドバンもそうだけど、最初の手拍子も、サビのところでジャンプして声出すところとか、ほんとに最高に楽しいんですよ。なんで最近入っていなかったのか不思議。
この曲の会場の沸き方もそうだけど、全然知らない隣の人と肩組んでヘドバンしたり、盛り上がりすぎて周りの人たちとハイタッチして喜び分かち合ったり。そういえばそうだったなって思い出した。ライブってこうだったよなって。まだ席があるうちは難しいけど、いつかまた彼らのライブでモッシュピッドが見れる日が来たらいいな。多分もうその輪の中には入れないけれど。


キミシダイ列車は、いつ聞いてもこのメッセージ性の強さに眩暈がする。が、今回このタイミングで聞いたことでより、この曲の凄さを見せつけられたように思う。大事なこと忘れてないか?コロナのせいにして逃げてはいないか?そう言われているようだった。
このツアーで彼らは、自分達はもちろん、私たちのフラストレーションを晴らそうとしてくれていたと思う。それと同時に、この変わってしまった世の中に対して、疑問を呈するような、語りかけるような曲を選んでいるように思えてならない。


特に、冒頭のアンサイズニアは、この現状への彼らなりの答えだったのだと思う。
「今を生きるコトは簡単じゃなくて ただ楽しけりゃいいってもんでもなくて 明日、明後日の自分に何が起ころうと責任を持てるかどうかさ」
「僕の思う当たり前は君にとって当たり前かな?君の思う当たり前は僕にとって当たり前かな?」
「きっと この世に正解もハズレも間違いなく無い」
何が正解かはわからない、それでも「死ぬ間際に悔いは無いと言えるように生きてたい」彼らは、声を上げ続けていた。東京ドーム初日に彼は声高々に「俺は間違っていなかった」と叫んでいた。聞く人によってはまた反感を買いそうだったが、でも、これをセットリストに入れた本当の意味が、ライブで彼の言葉を聞いてようやくわかった気がした。
 
キミシダイ列車やアンサイズニアは、もう10年以上も前の曲たちだ。それが今の世の中へ対するTakaの思いとリンクしているのはさすがとしか言いようがない。だからこその、間違っていなかった、という言葉だと思うし、それを否定することは誰にもできないんだろう。
 
今回TakaはMCで、人生は一本の紐のようなものだと話していた。何か大きなことをやり遂げて、紐に結び目をたくさん作っていくことが大切であるとするような風潮があると。でも、そうではなくて、たまには結び目を解いていくことも必要だと気づいたんだと。
今まで振り返ることをせず、ただ突き進んで進化し続けることだけが夢を掴むための近道だと信じていた彼らの歩みを止めたコロナ。色んなことが停滞し、常識が常識でなくなり、自分達のアイデンティティが失われかけることもあっただろう。悲しいこともたくさんあったと話していた。
バンドはナマモノだ。他人同士が顔突き合わせて一つのグルーヴを作り続けることはそう簡単なことではない。それぞれに、バンドマンではない顔がある。家族もいるし、それぞれの生活もある。コロナ禍で真っ先に失われかけたのはエンターテイメントだったと思う。部外者の私がそう感じたのだから、彼らのお先真っ暗感は想像に余りある。
それでも信じることを諦めず、自分達にできることを模索し続けていたのだろう。そしてその中で何が大切なのかにきっと気がついたのだ。おそらく彼らは、バンドとして大きな功績を残せなくても、4人でいることを選んでくれたのだ。
だからやっぱり、コロナがなければこのバンドはどこかで消えていたのかもしれない。だってあのまま、結び目を作るためにバンドを続けていたら、いつか必ず上手くいかなくなる。全員が同じ方向を向き続けることはとても難しいことだし、コロナで強制的に立ち止まらされたことで、今までとこれからについて考えた結果が、きっと今回のツアーで、あのMCなのだと思った。

 


不動の名盤である人生×僕=をリリースしてから10年。この10年という月日全てがあって、このツアーが完成したのだ。
小さな島国に留まることを是としなかった彼らはアメリカを目指して飛び出して、打ちのめされて、八つ当たりしてきて、その度になんでだよ、と、帰ってくればいいじゃん、と思ったりもした。けど、今までの時間全部でこのアルバムになって、そして、こんなセットリストを作れるようにしてくれたんだろうな。


音楽で世界を救えるとは思えないけれど、音楽で心は動かせるから。信じるものがあれば強くあれると、それを教えてくれたのはONE OK ROCKだった。
Takaは「自分はヒーローでもなんでもない」と話していたけれど、私にとってONE OK ROCKは、間違いなくヒーローだよ。‘バンドは仮面ライダーウルトラマンみたいにたくさんの数と歴史があって、そしていつの時代も必ず誰かの心に残ってる’んでしょ。
仮面ライダーウルトラマンも、中身はただの人間。彼らもきっとそうだ、才能が少しばかりあるけれど、きっと私たちと何も変わらず、夢を追いかけ日々を生きる人間なのだ。ただ、そのための努力を惜しむことなく続けられるだけで。


前回の東京ドームでのライブが心残りだったようで、その話を初日はしきりに話していて。途中音響トラブルもあって、急にサウンドチェックし始めるし。笑 席によっては残念な結果になってしまっていたようだけど、2日目は本当に、解き放たれたように全てを出し切っている様子で、見ていて本当に気持ちがよかったな。
それに、ライブ終わりのこの写真を見て、やりたいことやりきったんだろうなあと安心しました。よかったね。魔物倒せてたよ、圧勝だったよ、カッコよかったよ。
30過ぎた男たちの完全感覚Dreamerは、痺れるほどカッコよくて、ちょっとだけ泣きそうになった。全てを出し切るように歌い上げたTakaも、相変わらず煽りで何言ってるかわからないTomoyaも、堪んねえ!って顔しながらギターかき鳴らすToruさんも、たのし〜〜〜!!!って全身で表現してるRyotaも。みんなの好きなところ、何一つ変わってなかったな。4人が楽しそうに4人の音楽を奏でていれば怖いものなんて何ひとつないって、そう思えた。


今回のツアーで、私のONE OK ROCKへの想いが、何か一つ結末を迎えたような気がした。それは、Takaが約束を果たしてくれたからかもしれないし、浜スタとはまた違う、でもそれと並ぶくらい、忘れられないツアーだったからかもしれない。
サマソニに行った時、beginningの乗り方が周りとずれていることに気がついた。ドームで突然沸き起こった手拍子に困惑した。いつかTakaがドラムの音に合わせて乗って欲しいと言っていたことや、手拍子が嫌いだと話していたことを覚えている人は、きっともういないのだろう。それでも。
こんなに長いこと何かを好きでいれるなんて思ってもなかったし、好きになったこともなくて。10年という月日は彼らも、私自身も、変えるには十分すぎた。変わったことがありすぎるのに、私は変わらずこんなにも彼らの音楽で満たされている。小さい箱でもみくちゃにされて汗に塗れて、目が合ったと喜んでいた時と変わらない。誰になんと言われようと、好きなものは好きでいていいんだと思わされたし、ひたすら健気に追いかけ続けていた時間が全て報われた気がして、ちょっとだけ寂しくて、嬉しくてしあわせだな。


これから先もきっと好きだし、死ぬ迄通い続けると思うので、どうか身体だけは大事にしてください。


これからも4人で、ずっと。

 

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